マンデーン占星術のホロスコープ②【建国図,ヴァルシャファラ,etc】
Salam!
たまたまなのですが、先日鑑賞したある映画のアフタートークでウクライナの政治評論家ナザレンコ・アンドリーさん、その少し前にはウクライナの国際政治学者のグレンコ・アンドリーさんなど、最近ウクライナの方々のお話を直接聞く機会に恵まれました。
彼らの訴えは切実で、いつも心を動かされます。
昨年の12月21日にはゼレンスキー大統領がワシントンを訪問して米国連邦議会の上下両院合同会議で演説し、その内容が話題になっていましたね。
ゼレンスキー大統領は
「あと2日で、私たちはクリスマスを祝います。おそらく、キャンドルの明かりで。その方がロマンチックだからというわけではありません。電気が使えないのです。私たちはクリスマスを祝います。たとえ電気がなくても、私たちの信仰の光は、消えることはないでしょう」
と語りましたが、個人的に彼に感じるのは逆境を通じて練り上げられた言葉の力です。
前回の「マンデーン占星術のホロスコープ①」でヒンドゥー・ニューイヤーチャートを扱いましたが、上はウクライナの2022年の新年図です。
10室(行為)には金星と木星というふたつの吉星が鎮座していますが、確かにゼレンスキー大統領はこの戦争を通じて大国の侵略に対して一歩も引かぬ矜持と優れた弁舌を示し、国内外の支持を得ています。
現在も停戦中に関わらず攻撃を繰り返すロシアに非難が集まっていますが、戦争が長期化するにつれてこうしたニュースも人々の中で「世界の片隅の出来事」へと追いやられていくのかもしれません。
しかし僕は個人的に、これからもウクライナ情勢に注視していきたいと思っています。
大江健三郎の受賞を読み解く
前置きが長くなりすぎました(笑)
さて、前回の記事の続きです。
前回紹介したマンデーンのホロスコープは次の通り。
① 国家のホロスコープ
② 国家元首(あるいは行政機関の代表)個人のホロスコープ
③ ヒンドゥーニューイヤーチャート(チャイトラ・シュクラ・プラティパーダ)
④ ヴァルシャファラ(ソーラーリターンチャート)
⑤ 新月図・満月図
⑥ ソーラーイングレスチャート
前回は1994年の大江健三郎の受賞を③のヒンドゥー・ニューイヤーチャートで読み解きましたが、今回はそれ以外のホロスコープの検証もしてみたいと思います。
当時の首相は村山富一さん(1994~1996年在職)でしたが、出生データがないし、内容も文化に関わることなので②は使用しません。①④⑤⑥を見てみます。
①建国図とダシャー
清水俊介先生たちが時刻修正した日本建国図では、1994年10月は土星ー金星期。
土星は10室に在住し、金星は11室(受賞)を支配して高揚の星座にあり、10室にアスペクトしています。
マハーダシャーの土星から見ると5室(学業)の支配星は金星、水星、月という三つの吉星と絡んでいます。
④ヴァルシャファラ
ヴァルシャファラとは、太陽がネータルチャートの位置に重なるタイミングで作成するホロスコープのこと。別名ソーラーリターンチャート。一年間の動向を細かく見るのに使います。
ここには書いていませんが、ヴァルシャファラのダシャーもちゃんとあります。
上は日本建国図をもとにして作った1994年のヴァルシャファラチャート。 ムンター※1が10室にあり、11室を支配する月のアスペクトを受けています。
さらに5室を支配する土星は木星、金星、太陽、水星とイタサーラ・ヨーガ※2を形成しています。
⑤新月図
ノーベル賞の受賞者は毎年10月から順次発表されますが、大江健三郎の受賞が発表されたのは1994年10月13日。
なので、直前の10月5日の新月図を使用します。
11室にはラーフ、木星、金星、水星が在住して惑星集中。そこに火星がアスペクトして多数のラージャヨーガ※3を形成しています。
⑥ソーラーイングレスチャート
ソーラーイングレスチャートは、太陽が星座をまたぐ瞬間に作られるホロスコープ。
一か月間の趨勢を見ます。
1室と10室を支配する水星が1室に在住。コンバスト※4はされていません。
11室を支配する月は5室(学業)から11室にアスペクト。
というわけで、これらのホロスコープから受賞の徴(しるし)を読み取ることは十分可能かと思います。
今回は二回にわたってマンデーンで使用する各種ホロスコープの紹介を行ってきました。
ただ、これはほんの一部だし、マンデーン占星術には特有の見方も多数存在します。
しかし、時代や国と無関係な個人は存在しない以上、マンデーンは占星術師の備えるべき基本的な教養と言えるでしょう。
ぜひ、機会があれば学ばれることをお勧めします。
※1 年運を見るうえで重要になるポイント。
※2 イスラム占星術に由来するとされる惑星同士のコンビネーション。
※3 社会的成功をあらわすコンビネーション。
※4 太陽に近すぎる惑星はその力が弱まるとされる。
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