木星(モラル)と水星(理性)が深く傷ついたトランジット
トランジット(ゴーチャラ)とは、リアルタイムの天体配置の推移のこと。 現在進行形で変化するトランジット・チャートと個人、あるいはさまざまな国家や団体などのネイタル・チャート(出生図)と照合することで、出来事の起きるタイミングをより具体的に絞り込んでいきます。
僕は安易に「今水星が逆行しているから〇〇」といった言説に与しないようにしていますが、それにしてもここのところ個人的に良からぬ兆候(判断ミス、思い違い等)が明らかに多いなと思い、トランジット・チャートをあらためて見てみました。普段は自分自身のダシャーもトランジットもそれほど意識せずに生きているのですが・・・
Jyotish-ONEを使われたことがある方はおわかりと思いますが、ネイタル・チャートの右上の「トランジット」のボタンをクリックするとトランジットのページに遷移します。もちろん、細かく日時を指定して出すことが可能。
内側のホロスコープが出生図で、これと外側のトランジットのホロスコープ(緑色)を照らし合わせて見ていくわけですね。 上は今日の日付で出したトランジット・チャート。内側はアキュバルのホロスコープです。
トランジットを見ると、牡羊座にある木星がすべての凶星(Ra.Ke.Su.Ma.Sa)に傷付けられていることがわかります。さらに、天秤座にある水星もすべての凶星と絡んでいる。※1
トランジットの見方は色々あるのですが一部だけ紹介すると、まず自分のアセンダント(ラグナ)の星座から数えて何室にどんな影響があるのかを見ます。
僕のアセンダントは蠍座なので、最も傷ついている牡羊座は6室に当たります。
また、月の在住する星座からも見る。
僕の月は乙女座に在住しているので、牡羊座は乙女座から数えて8室に当たります。
6室と8室。どちらもネガティブな象意の多いハウスです。
また、惑星集中している天秤座のサルヴァシュタカヴァルガ※2は20点で低い。
次に、現在のダシャー・ロード(ダシャーを担当している惑星)がトランジット・チャートでどういう状態にあるか見てみます。
親切なことに、Jyotish-ONEのトランジットページでは、現在のダシャーも同時に表示してくれます(図一番下)。
僕は現在、木星ー水星ー水星期。
先に述べたように、マハー・ダシャー・ロードの木星は6室(月から8室)に在住してすべての凶星に傷付けられている。
アンタル・ダシャー(レベル2)、プラティアンタル・ダシャー(レベル3)・ロードの水星は12室(月から2室)に在住して、やはりすべての凶星に傷つけられている。
さらに、木星は宗教性・精神性の惑星であり、水星は判断力・識別力をあらわす惑星です。
実は、このふたつの惑星は人が犯罪を犯すかどうかに深く関わってくる惑星とされています。
人が道を踏み外す、その矩(のり)を踰(こ)えさせるのはモラルと理性の喪失というわけです。
さて、ここまで書いてきて思い出すのが、現在進行形で悲劇が起こっているイスラエルとパレスチナです。
パレスチナ暫定自治区のガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスが突如、イスラエルへの攻撃を開始したのが10月7日。4日前の10月3日にはちょうど火星が天秤座に入室したばかりでした。
イスラエル建国図は乙女座ラグナなので深く傷ついている牡羊座は8室。
マンデーンにおいて8室は大量死のハウスで有名です。
トランジットの水星が天秤座に入ったのが10月19日ですが、それ以降、両軍のマインドは非常に危険な状態であると言えるかもしれません。少なくとも、このトランジットは残虐行為のトリガーになり得るのではないかと思います。
実際、イスラエル軍は27日から砲兵や工兵部隊、戦車などをガザ北部に展開して戦闘の「第二段階」を宣言。ガザの死者は8000人を超えると伝えられています。
今後の動向を見ると、11月17日には太陽と火星が同時に蠍座に抜けることで凶星の傷は緩和されます。※11/28追記 イスラエルとガザ地区を実効支配するハマスは11/24から4日間、戦闘を休止し、ハマスが人質を段階的に解放する一方、イスラエル側も刑務所に収容しているパレスチナ人を釈放することで合意
このことで現地の状況に良い変化があることを期待したいと思いますが、トランジットの影響はダシャーより優先されるものではありません。
イスラエル側も「長く困難な戦いが続く」と予想しており、まだまだ両国において過酷な状況が続くのかもしれません。
※1トランジットにおいて逆行している惑星はひとつ手前の星座からもアスペクトする。この場合、逆行した土星は天秤座にもアスペクトしている。
※2 星座の強さをビンドゥという数値で測る方法。非常に煩雑な計算によって求められる。トランジットする惑星の強さを計測する目的で使われることが多い。