「最強のマントラ」ヴィシュヌ・サハストラナーマについて
最近、偶然にもマントラに強い関心を持つ方を立て続けに鑑定する機会があったので、マントラについて少し触れておきたいと思います。
僕が日々詠唱しているマントラはふたつあります。
それはナーラヤーナ・カヴァチャムとヴィシュヌ・サハストラナーマです。
インド占星術における処方はマントラと慈善行為(チャリティ)しかないというラオ先生のお考えにもとづき、もし相談者の方が強い興味をお持ちの場合、これらのマントラをご紹介することがあります。
特に、ヴィシュヌ・サハストラナーマはラオ先生が「マントラはこれひとつ唱えるだけで十分だ」と太鼓判を押すほどの最強の効力を持ったマントラです。
『マハー・バーラタ』の中において、死の淵にあった勇将ビーシュマからユディシトラ(パーンダヴァ兄弟の長男)に直接伝授されたというヴィシュヌ・サハストラナーマ。その詩句と音律はヴィシュヌ神の栄光を称えるものであり、シュリー・アディ・シャンカラチャリヤー(8世紀の宗教指導者)が唱えたことで有名になり、世界中に広まりました。
”Sh.K.N.Rao talks about Vishnu Sahasranama”(画像クリックで動画へ飛びます)
ラオ先生がインタビューに答えてヴィシュヌ・サハストラナーマについて解説する映像。
先日清水俊介先生がこれを訳してくださったのですが、その中にはこうあります。
”占星術の議論をしに訪れる者、なにか問題を相談しに来る者に、私はヴィシュヌ・サハストラナーマとナーラーヤナ・カヴァチャムを唱えるように助言している。
これらを唱えなさい。
ゆっくり、平和があなたの心を訪れるでしょう。まわりの環境も澄み渡り、平穏になり、サットヴァになるでしょう。そしてサットヴァな性質が強まった結果、恐怖心がなくなり、ラジャス(熱情)とタマス(怠惰)の性質も弱まっていきます。
凡庸な占星術師のほとんどは雑多なレメディー、たとえばラッキーストーンなどを処方します。しかしこれらは相談者から金を巻き上げる手段でしかないとわたしは思っています。これらはすべて不必要なものです。
ただ座ってヴィシュヌ・サハストラナーマを唱えればいいんです”
これは僕が作った朗読用テキストですが、このようにヴィシュヌサハストラナーマは108のシュローカ(詩句のまとまり)、1000の語句から構成されています。サハスラは「千」の意。
このひとつひとつがヴィシュヌを称える文言であり、そこには神代の出来事やヴェーダの知識がたっぷりと詰め込まれています。
例えばシュローカ89の「サプタヴァーハナ」、サプタは数字の「7」なのですが、ヴィシュヌは七つの風(ヴァーユ)の曼荼羅で世界を治めるとか、七つのヴェーダ(聖典)は太陽が連れている七台の馬車に象徴されるとか、そういう意味が背景にあります。
ひとつひとつの語句の解説は以下のウェブサイトに載っています。
ヴィシュヌ・サハストラナーマは通して詠唱すると約17分。
長いですよね。サンスクリット語発音の馴染みのなさもあり、はじめは敷居が高く感じるかもしれません。
でも僕自身は毎日欠かさずラオ先生の詠唱を聞くことで少しずつ身体に覚えさせ、半年くらいかけて何も見ずに暗唱できるくらいまでにはなりました。
ですので、みなさんもその気になれば覚えることはできるはずです。
鑑定後、ご希望の方にはヴィシュヌ・サハストラナーマのオーディオと朗読用のテキストをお送りできますので、ご興味のある方はおっしゃってください(もちろん、料金は一切取りません)。
これからは大変な時代になると思いますが、マントラを唱える習慣を身につけておけばきっとわが身の助けになってくれるはずです。
良きマントラライフを!