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木星は「直感」を与え、土星は「かたち」を与える。【ダブル・トランジット】その①



今回はトランジットで使えるテクニックについてひとつご紹介します。

トランジットという呼び方には聞き覚えがある人も多いと思いますが、要は現在の、リアルな天体配置のことです。

生まれた瞬間の天体配置を「冷凍保存」したネータル・チャートと、この現在進行形のトランジット・チャートと照らし合わせて読むことで、よりイベントのタイミングを絞ることができるようになるため、占星術家必須のテクニックといっても過言ではありません。


さて、ではそのトランジット・チャートで使える「ダブル・トランジット」とはどういう技法なのでしょうか?



ダブル・トランジットとは?


ダブル・トランジットの「ダブル」とは、木星と土星のこと。木星と土星、両方の惑星のエネルギーが影響している星座(ハウス)はそのテーマが活性化されるというもので、このことは最初、K.N.ラオ先生によって提唱されました。


「だれにとってもなにか重要なことが起きるときは必ずトランジットの土星と木星が重要な役目を果たしている」(『Ups and Downs in Career』)


木星は「拡大・発展」の惑星だから違和感はありませんが、凶星である土星にそんな力があるのかと疑問に思う人もいるかもしれませんね。しかし、そこが惑星の象意の裏表というか、機微というか、まさに「肝」になるポイント。

もともと凶星として忌み嫌われている土星ですが、そんな土星にも永続的な成長、基盤の構築、物事の現実的な達成という良い象意があるんですね。

つまり、木星は拡大する傾向を与え、土星はそれにかたちを与える。それに着目したのがラオ先生だったわけです。




具体的に見てみましょう。

2020年元旦のトランジット・チャートを例に出してみました。赤く囲んだ星座がダブル・トランジットが起きている箇所です。

それぞれの惑星のアスペクトを考慮すると(「インド占星術のアスペクト・ルール」参照)、


木星が影響している星座→射手座、牡羊座、双子座、獅子座

土星が影響している星座→射手座、水瓶座、双子座、乙女座


となり、射手座と双子座がダブル・トランジットで活性化している星座ということになりますね。

そして、それがどういう影響を及ぼすかは、人によって違います。

例えば牡羊座ラグナの人にとっては双子座は3室、射手座は9室にあたるので、この人にとっては特に「移動」のテーマが活性化されると読めるわけです(3室は短距離の移動、9室は長距離の移動)。旅行や出張があったりね。



トランジットは「配達人」?



ではこの時期、牡羊座ラグナの人全員に3室・9室に関係する全ての出来事が起きるのか?

答えは当然NOです。

トランジット・チャートは必ずネータル・チャートと照らし合わせて見なければならず、運命の鍵を握るダシャーの分析なくしては語れません。


これは言い得て妙だと思うのですが、ある方はトランジットのことをDelivery boy(配達人)という言い方をします。

つまり、そこに荷物が入っていなければ何も起きないわけですね。

荷物を入れるのは当然、ネータルのホロスコープとダシャー。

逆に言えば、トランジットとダシャーが同じ方向性を示していれば、それが起こる確率はかなり高いといって良いでしょう。


さて次回は、このダブル・トランジット技法について、ホロスコープを使ってより具体的に解説してみたいと思います!


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