神々の惑星、魔族の惑星
"Rama confronting Ravana"
以前の記事「水星VS月、土星VS太陽・・・相性の悪さの理由は神話にあり?」では、ヴェーダに伝えられる神話の内容から惑星同士の相関関係を読み解きました。
今回はそれに関連して、「友好・中立・敵対」という惑星同士の相性について、わかりやすい覚え方をご紹介したいと思います。
インド神話といえば、神族と魔族という二項対立の構図がしばしば登場します。
ヴァラーハ(猪)と化したヴィシュヌ神に討たれたアスラ族※1のヒラニヤークシャ。
『ラーマーヤナ』※2で描かれた、ラーマ王子と魔王ラーヴァナと戦い。
こちらのブログで紹介したラーフの神話も、神族と魔族の闘争の歴史がバックグラウンドとなっていました。
実は、私たちがよく知る木星、水星、月といった惑星たちも神族と魔族のいずれかに分類されます。そしてこの分類が、私たちが惑星同士の相性を覚えるための大きな助けとなってくれるのです。
以下の分類をご覧ください。
グループ① 神族(デーヴァ)
木星 太陽 火星 月
グループ② 魔族(アスラ)
金星 土星 水星
こうして見てみると、私たちの知る「吉星・凶星」という区別とはまったく異なった分類になっていることがわかります。
吉星としてのイメージが強い金星ですが、実は魔族のリーダーなんですね。
木星はイメージ通り、神族のリーダー。
ざっくりとした印象を述べるなら、神族のチームはスピリチュアル・精神的な側面を持った惑星が集まっていますが、魔族のチームはどちらかといえば世俗的・物質的。
現実的な技能や知識を司るのはむしろ魔族のほうなのです。
では、上の分類をアタマに入れたうえで、木星を例に友好・中立・敵対関係を読み解いてみましょう。
こちらは木星と各星座の相性が一目でわかるように図にしたもの。
友好・中立・敵対星座に注目してください。
友好星座とは、惑星が心地よさを感じる星座に在住していること。定座※3には満たないが、ある程度の強さを担保してくれます。
中立とは、惑星があまり強さを発揮できない環境。
敵対星座とは、惑星が居心地の良くない星座に在住すること。つまり逆境です。
木星が友好となるのは、火星が支配する牡羊座と蠍座、そして太陽が支配する獅子座。
火星・太陽は木星と同じ神族チームです。
木星が敵対となるのは、水星が支配する双子座と乙女座、そして金星が支配する牡牛座と天秤座。
中立になるのは、土星が支配する水瓶座。
水星・金星・土星は木星とは異なる魔族チームです。
このように、基本的には同じチームの惑星が支配する星座に在住すると友好になりやすい、敵対チームの星座だと中立・敵対になりやすいという傾向があります。
では、魔族チームの土星も見てみましょう。
友好星座は、水星が支配する双子座と乙女座。そして金星が支配する牡牛座。
水星・金星は同じ魔族チーム。
敵対星座は、月が支配する蟹座、太陽が支配する獅子座、そして火星が支配する蠍座。
中立は木星が支配する射手座と魚座。
月・太陽・火星・木星は神族チーム。
これは非常にわかりやすい例ですが、敵対惑星が存在しない「八方美人」の月のようなユニークな惑星もあります。詳しくは「【永久保存版】惑星の品位一覧」をご覧ください。
さて、この友好・中立・敵対は高揚・減衰などと同じく、惑星の強さを測る指標となるものですが、ダシャーを読むときにも大いに活用できます。
以前も書きましたが、ヴィムショッタリ・ダシャーはマハー・ダシャーとアンタル・ダシャーといった二つ以上の惑星の組み合わせにより成立します。
太陽ー木星期のような仲の良い惑星同士のダシャーに比べ、金星ー木星期のような敵対惑星同士のダシャーがどうなるかというと・・・それは推して知るべしですね。
特にこの「金星ー木星期」 or 「木星ー金星期」については有名で、さまざまな問題が生じがちです。特に異性関係。
これについては、また機会をあらためてご紹介したいと思います!
※1 インド神話において神々(デーヴァ)と対立する存在。イランにおけるアフラの同系語であるとされ、「阿修羅」の語源にもなっている。
※2 『マハーバーラタ』と並ぶインド2大叙事詩の一つ。ラーマ王子が誘拐された妻シーターを奪還すべく大軍を率い、ラークシャサの王ラーヴァナに挑む姿を描く。
※3 惑星の強さを測る指標、品位(dignity)のひとつ。高揚、ムーラトリコーナに次いで強いとされる。
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