【時刻修正】アガサ・クリスティーのホロスコープ~後編~
- blueastrologer
- 7月28日
- 読了時間: 5分
更新日:8月9日

前回の記事「【時刻修正】アガサ・クリスティーのホロスコープ~前編~」では、ミステリー作家アガサ・クリスティーのホロスコープについて取り上げました。
今回はその続きです。
内容的には時刻修正なので中級者向けになります。

こちらがAstro Databankの掲載データで出力したアガサのホロスコープです。
ホロスコープのラグナ(アセンダント)は本当にこれで正しいのか?という話でしたね。
今回は、前回の最後で提示した何点かのエピソードを検証し、僕が行ったアガサのホロスコープの時刻修正のプロセスを一部お見せしたいと思います。
検証①
執筆に関係する惑星(木星・水星)が3室や5室に絡んでいるか?

結論からいうと、Astro Databank掲載の時刻からマイナス22分の13時52分に修正しました。
日本の母子手帳ではほぼありえない修正幅ですが、Astro databankの信憑性から、このぐらいの修正もあり得ると考えました。
作家という職業は特徴的なのでまずその点を検証したいのですが、実は射手座ラグナでも蠍座ラグナでも10室に絡む惑星には大きな差がありません。
そこで、表現の3室と才能の5室にちゃんと水星と木星の執筆のコンビネーションができているか、という観点でホロスコープを見てみます。
右側の修正後のホロスコープでは、3室に木星が在住し、そこから水星にアスペクト。
5室の支配星は木星で、5室には水星がアスペクト。
修正後のホロスコープではかなり明確に成立していますが、修正前(左側)のホロスコープではそうした絡みがほとんど見受けられません。
検証② 薬剤師の資格を取得し、大戦中に助手として勤務。5室(学業)に薬学の絡みができているか?

アガサのエピソードでユニークなもののひとつが、第一次世界大戦中には薬剤師の助手として勤務し、そこで毒薬の知識を得たという経験です。その毒薬の知識で、彼女は作中に登場するさまざまなトリックを考え出していったわけですね。
というわけで、5室(学業)に薬学のコンビネーションが成立しているかどうかを見ます。
修正後は5室が水の星座である魚座であり、そこに月と火星がアスペクトしています。
これはかなりわかりやすい薬学のコンビネーションです。
一方、修正前(左側)のホロスコープではそういった絡みが希薄です。
検証③
ユニークなパーソナリティ、特殊な生育環境、幼少時における人間関係の問題。

これはたまたまですが、修正後のホロスコープではラグナ(アセンダント)にRa-Ke軸がほぼぴったり重なります(度数に注目)。
RaKe軸に重なるラグナは変わったパーソナリティや、幼少期に人間関係で苦労することを示す場合があります。
アガサの場合は正規の学校に通わず、母親から読み書きを教わることを7歳まで禁じられるなど、幼少期の教育はかなり特殊な環境下にありました。
そして同年代の友人のいないアガサは使用人やメイドと遊んだり、家の庭園で空想上の友人との一人遊びをしたりして過ごし、内気な少女に育っていったようです。
検証④ アーチボルド空軍大尉と結婚―1914年12月

ここからはダシャーの検証です。
修正後のダシャーを見て、彼女のライフイベントがちゃんと反映されているかチェックしていきます。
彼女は1914年12月にアーチボルド空軍大尉と結婚しました。
この時のダシャーは以下の通り。右側はD9(ナヴァーンシャ)です。
VD(ヴィムショッタリ・ダシャー)とCD(チャラ・ダシャー)で検証しています。
VD : Ra-Ke―RaとKeはD1,D9ともに1-7軸にある。
CD : 乙女-乙女―乙女座にはDK(ダラカーラカ)が在住。乙女座から7室にMaとSuがアスペクト(相手は軍人)。
検証⑤
長女ロザリンド出産―1919年8月

長女ロザリンドを出産した時のダシャーです。
右側は子供運をあらわすD7(サプターンシャ)です。
VD : Ra-Su―RaはD1でもD7でも5室の支配星からアスペクトされている。
SuはD1でもD7でも5室に絡む。
CD : 獅子-山羊―獅子座にはPK(プトリカーラカ)とJuがアスペクト。山羊座にはPKのJuが在住。
検証⑥
『アクロイド殺し』でベストセラー作家に―1926年6月

1926年に発表した『アクロイド殺し』における大胆なトリックと真犯人を巡って、大論争がミステリ・ファンの間で起き、アガサは一躍有名人となりました。
右側は仕事運をあらわすD10(ダシャーンシャ)です。
VD : Ju-Sa―Juは10Lにアスペクトし、D9で10室を支配する。3室で減衰しているのでパラシャラの例外則※1にあたる。SaはD1で10室、D9で11室に在住。
CD : 獅子-獅子―獅子座はアセンダントから10室であり、上昇をもたらす星座。Amk(アマティヤカーラカ)が在住。
検証⑦
考古学者マックスと中東で出会い再婚―1930年9月

アーチボルドと離婚したアガサは中東旅行の最中に考古学者マックスと出会い、再婚しました。
VD : Ju-Ve―JuはD1,D9ともに7室にアスペクト。VeはD1で7室を支配し、D9で7室にアスペクト。
CD : 蟹-水瓶―蟹座から7室にDKN(ダラカラカ・ナヴァーンシャ)※2があり、Ra,Ke,Sa,Juがアスペクト。水瓶座から7室にはDKNとVeがアスペクト。
以上、七つのエピソードで検証してみましたが、いかがだったでしょうか。
ちなみに僕が個人で開催している「実践クラス」という内部向けのレッスンでは、こうした時刻修正をテーマにして、みんなで意見を出し合って議論しています。
もちろん、僕もここで書いた意見が絶対に正しいと主張しているわけではありません。
結局著名人の出生時刻は曖昧なものが多く、アガサのホロスコープもそのひとつです。
だからこそラオ先生も「有名人のホロスコープを追いかけるな」と警鐘を鳴らしているわけですが、やはり自分たちの興味のある人物のホロスコープを検証するのは楽しいのも事実。
節度をもって取り扱うぶんには、いい練習になると思います。
僕個人としてはこの時刻修正に手応えを感じてはいますが、よければ皆様のご意見などもぜひお寄せいただければと思います。
※1 3室、6室、8室を支配する、あるいは在住する減衰惑星は成功をもたらすとされる。
※2 D9においてDK(ダラカラカ)が在住する星座のこと。お付き合いや結婚をもたらすポイントのひとつ。
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