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【古典を読んでみよう】ウパパダと結婚生活①



インド占星術といえば、古の聖者たちによって語られる古典を抜きにしては語れません。

映画『バーフバリ』や『RRR』の大ヒットで少しずつ日本人にもインド神話のエッセンスが浸透しつつありますが、インド占星術の古典に直接触れたことがあるという人はさすがに少ないでしょう。


現代に伝えられるインド占星術の古典としては


・『ブリハット・パラーシャラ・ホーラー・シャーストラ』(聖仙パラシャラ)

・『ブリハット・ジャータカ』 (ヴァラーハミヒラ)紀元前57年頃

・『パラディーピカ』 (マントレシュワラ) 13世紀頃?

・『ジャータカ・パリジャータ』 14世紀

・『サルヴァンタ・チンタマニ』 16世紀


などが挙げられますが、特に『ブリハット・パラーシャラ・ホーラー・シャーストラ(BPHS)』は「インド占星術のバイブル」として学習者の間では有名ですね。


僕たちが今学んでいるインド占星術のテクニックはこうした古典の数々を源泉とし、後世の人々の研究と努力によって引き継がれてきたもの。

古典に触れることはラオ先生も推奨していますし、何より古典には僕たちの通常の思考では到底到達しえない知識が記されています。


とはいえ、実際翻訳を読んでみても何やら高尚な言い回しでちんぷんかんぷん・・・という印象の人も多いはず。かく言う僕もそのひとりです。

そこで、今回はBPHSの有名な一節を取り上げて、書いてあることのエッセンスをわかりやすく抽出し、実際にそれが現代人のホロスコープに出ているのかまで検証してみたいと思います!



結婚生活の質を左右する「ウパパダ」



BPHSにあるシュローカ1-6の第30章に、このような記述があります。


「オー、ブラフマンよ。私はいまウパパダについて教えを授けよう。妻や子孫による幸福をもたらす吉兆についての教えを。

このウパパダは、ガウナ・パダとも呼ばれている。もしウパパダが吉星からアスペクトされたり、吉星とコンジャンクトするなら、子孫と配偶者によって幸福がもたらされるだろう。

しかしウパパダが凶のハウスに在住したり、あるいは凶星からアスペクトされたり、凶星とコンジャンクトしているなら、禁欲し、妻帯することはないだろう。

もし吉星からアスペクトされていたり、凶星に吉星がアスペクトあるいはコンジャンクトしていたら、独身で終わることはないだろう」


BPHSは基本的に師弟の問答形式で書かれているため、まず「おお、ブラフマンよ」と弟子に語りかけるところから始まるわけですね。

さて、ここに出てくる「ウパパダ」についてはすでに過去の記事で触れています。


パダについて概略をお知りになりたい方は上の記事を参照してください。

ウパパダとは12室のパダであり、結婚を見る際に重要な役割を果たすポイントとして知られています。その根拠がこのシュローカに書かれているというわけです。


ウパパダが幸福な(あるいは不幸な)結婚生活をもたらす条件がいろいろと書かれていますが、ここではざっくりと「結婚に関してウパパダに吉星が絡めばOK!」という理解で進めたいと思います。

さらに条件を絞って、ここでは吉星の中でも特に「配偶者(夫・妻)」の意味合いが強い木星・金星の絡みに注目してみることにします。



続いて、シュローカ7-12にはこのように記されています。


「もしウパパダから2室目が吉の星座か、あるいは吉星からアスペクトされていたり、吉星とコンジャンクトしている場合、同様のよい結果が得られるだろう。

もしウパパダから2室目に惑星が減衰して在住していたり、あるいは減衰の状態にある惑星とコンジャンクトしていたら、妻に災いが降りかかるだろう。

もしウパパダから2室目に惑星がナヴァーンシャで高揚して在住していたり、あるいは他の惑星からアスペクトされていたら、魅力的で徳の高い妻を娶るだろう。

もしウパパダあるいはウパパダから2番目のハウスに自室の支配星が在住していたり、あるいはそれ以外の自室に在住していたら、妻は長生きするだろう」


このシュローカで言いたいことをまとめると、つまり「ウパパダから2室も見てね」ということだと思います。ざっくりしすぎ?いいんです!


最後の段落に「妻は長生きするだろう」と書かれていますが、こういう、さも当然のように古典に書かれていることも現代日本に生きているわれわれの身に置き換えて考えてみる必要があると思います。

現代においてもインドをはじめ多くの国ではそう簡単に離婚することはできません。当時はなおさら長生きする=ずっと結婚生活が続くという解釈で良かったのだろうと思われますが、ご存じのように日本の離婚率は約35%、つまり3組に1組は離婚で結婚生活を終えている計算になります。

とうわけで、この「長生きする」を「結婚生活が続く」という文脈で捉えてみたいと思います。


また、3番目の段落にある「ナヴァーンシャで高揚する」という記述も興味深い。つまり「絡む惑星の強さを計るにはナヴァーンシャも見てね」ということですね。これもやはり、インド占星術の基本となる考え方のひとつです。



ということで、BPHSに書かれている「結婚生活が長続きする条件」を独断と偏見によりざっくり以下のようにまとめてみました。


① ウパパダ、あるいはウパパダから2室に木星か金星が在住orアスペクトする。

② ウパパダ、あるいはウパパダから2室に定座以上、あるいはナヴァーンシャで定在以上の惑星が絡む。


次回の記事では、この条件が結婚生活が長く続いている人のホロスコープで当てはまっているか、実際に検証してみたいと思います!

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