【ジェイミニ占星術】パダの計算法
今回はジェイミニの技法「パダ」について。
これまでの記事では、おもにパラシャラ占星術の方式で解説をおこなっており、ジェイミニ占星術※1についてはあまり触れてきませんでした。
ジェイミニについては、ある方が「野球に例えると、パラーシャラ方式がセ・リーグ、ジェイミニ方式がパ・リーグ」と発言されていて、なかなか面白いことを言うなと思った記憶があります。野球にたとえるなら「人気のセ、実力のパ」なんていう言葉もあったように(今はどうなのか知りませんが)、ジェイミニ占星術の有効性、即効性はパラーシャラ占星術を凌駕するものがあると思います。
なので、記事ではあえて触れていないだけで、僕は実は鑑定の現場においてはジェイミニのほうに重きを置いています。
そんなジェイミニ方式の用語としてよく耳にする「パダ」。
初学者には耳慣れない響きかもしれませんが、インド占星術の学習を進めていけば避けては通れません。
今回は、その「パダ」の算出方法について簡単に解説します。
パダの計算方法
パダとは何か。
どうやって実際のリーディングに活かすのか。
ある程度学習を進めてきた自分にとっても、この「パダ」という概念はいまだに謎めいた存在です。
しかしジェイミニのダシャーを解釈するときにパダを活用することで、驚くほど鮮やかに事象が説明できる場合もあります。
パダはアスペクトするのか、しないのか。この点においても占星術家の意見は分かれており、つまり統一された見解がいまだ形成されていないことを意味しています。
しかし、ざっくり言うならば、パダとはそのハウスの結果をもたらすもの。
ひとまずそういう理解で間違いないと思います。
1パダなら自分自身、4パダなら家や車・・・といったように。
特に7パダは伝統的にダラパダ、12パダはウパパダと呼ばれ、結婚に関する特別な役割を与えられています。
また、1パダもアルダ・ラグナといって、月やカラカムシャなどと同様に「セカンド・ラグナ」として重視されています。
さて、肝心の算出方法ですが、それほど難しくはありません。
① そのハウスから支配星までのハウス数(A)をカウントする。
② 支配星の在住星座から(A)の数だけ進めた星座がそのハウスのパダになる。
こうして文章で書くと「?」ですね。では具体例を見てみましょう。
パダを計算してみよう!
「共通する特徴を探し出せ!ホロスコープ10番勝負〜文筆業編〜」で紹介したJ.K.ローリングさんに再び登場していただきます。
では例題です。ローリングさんの3パダはどこにあるでしょうか?
アセンダントが天秤座なので、3ハウスは射手座。支配星の木星は牡牛座に在住。射手座から牡牛座までカウントすると、6。
というわけで次に、木星の在住する牡牛座から6進めます。
つまり、3パダは天秤座です。
J.K.ローリングさんのパダをすべて算出してみました。
ぜひ一度、自分で全部のハウスのパダを算出してみてください。
また、パダは基本的に特定のジェイミニ・ダシャーを読むときに活躍するものですが、こうしてホロスコープと照らし合わせて特徴を探ってみても面白いかもしれません。
例えば、以前「9パダが1ハウスに在住する、もしくは1パダが9ハウスに在住するのは王家の証である」というような記事を読んだことがあります。それが本当かはともかく、パダの配置そのものがリーディングするうえでのヒントになるということですよね。
特にパダはダシャーの解釈を行う際に大きな効力を発揮します。これは経験的にもそう思います。
ジェイミニの謎めいた技法、パダ。
ホロスコープを読むときにはぜひ注目してみてください。
ジェイミニ占星術の基本ルールについての解説は、また機会をあらためてやりたいと思います。
※1 パラーシャラ占星術と双璧をなす、インド占星術の体系。聖者ジェイミニによって創始された。アスペクトやダシャーなど、パラシャラ方式とは大きく異なったルールを持つ。
※2 「富」を暗示する惑星のコンビネーション。基本的には1室、2室、5室、9室、11室の支配星同士のコンビネーションを指すが、さまざまなバリエーションがある。